校長コラム
2024年1月26日
実はカンタン!「自信のある子」の育て方
自分の好きなことがあって、生き生きと行動している他の子と比べて「うちの子は、何に興味があるのだろう?」と思われたことはありませんか?
何事にも前向きに取り組んでいるように見えないと、心配になってしまうかもしれませんね。
その行動の違いには「自信」が関係しています。
今回のコラムは、特に小学校入学前に、「自分に自信をつけていく過程」について、年間1.2万人が受講する、1歳から高校生までのキッズダンス専門
Ti-ccha(ちっちゃ) KID’S DANCE SCHOOL 校長であり、チャイルドコーチングアドバイザーTi-cchaより、ご紹介させていただきます。
▼目次▼
唯一無二 「好きなこと」は観察から始める
まず最初は、お子さんがどんなことに興味を持っているか、じっくり観察してみてください。
お子さんは、親御さんと同じDNAを持っているからといって、決して性格や趣味嗜好まで同じではありません。
動き回るのが好きか?
ブロックなど何かを作るのが好きか?
お絵描きや工作が好きか?
歌やダンスが好きか?
きょうだいでも、好きなことは違って当然です。
相対的に親御さんやきょうだいが好きなものと、趣向が似ることも多いと思いますが、「同じものが好きだろう」と先入観を持たず、お子さんの様子をじっくり観察してみてくださいね。一緒にいられる時間が長い親御さんだからこそ、お子さんの好きなことを発見できるのではないでしょうか。
中には「よくわからない」というケースもあると思います。
おうちの中で、いつも同じものの中に囲まれていると、見つけるのが難しいかもしれません。
公園に出かけたり、様々な遊具がある遊び場に連れて行ってみたり。
新しい刺激のある場所へ、ご家族で出かけてみるといいと思います。
私は3人の男の子を育てています。
長男は、家の中が好きな子で、特に好きなのはブロックです。
何ページにも及ぶ説明書を理解し、ブロックを何時間もかけて作るのが楽しくて仕方ない子です。
次男は、とにかくアクティブな子です。
ブロックで兄と遊ぶのは好きですが、じっくり作るのは苦手で、兄が作ったもので遊ぶ程度です。
その代わり、外遊びが大好きで、体を動かすことを楽しむ子です。
三男は、兄が好きな遊びを好む子です。
まだ4歳なので、「これが大好き!」というものは明確ではありませんが、体を動かすことが好きなようです。
また、人の名前と特徴を覚えるのが得意なので、人が好きなんだろうなと感じています。
こんなふうに、同じ家族で、同じ環境で育っていてもそれぞれの特徴が生まれてきます。
無限の可能性の中にあるお子さんの未来に向けて、一番の理解者である親御さんが、「この子の好きなことは何かな?」と見つけてみてくださいね。
自信をつけるためのカギは「◯◯体験」!
「好きなこと」が見つかったら、次はそれを伸ばす環境を作ります。
ここで大事なのは、「集中させてあげる」環境です。
こんな時、あなたはどうされていますか?
小さなお子さんが、一生懸命取り組んでいるのにうまくいかない時。
【代わりにやってあげて、見本を見せる】
【手伝ってあげて、一緒にやる】
共に良いことだと思います。
注意点は、手を差し伸べるタイミングです。
タイミング次第で、「自信を持って取り組める子」「自信を持てない子」の差が生まれてしまうのです。
詳しくお伝えしていきましょう。
思い浮かべていただく両者の違いは、
「自信を持っている子」は、成功体験をして、ほめられたうれしい経験を持っている子です。
「自信を持っていない子」は、成功体験に乏しく、嬉しい経験が少ない子です。
大切なのは『成功体験』なのです。
ちょっとした公園遊びも、『成功体験』を得るチャンスにあふれています。
例えば、歩き始めのころ、まだまだ公園遊びはスムーズに行きません。
滑り台で遊ぶ時も、階段を登るのに時間がかかるものです。
自分で登るまで見守っていますか?
それとも、滑る時間をメインに考え、階段は抱き抱えて登っていますか?
また、砂遊びも、まだまだ上手にできません。
お子さんは誘導されるままに行動するだけになっていませんか?
『成功体験』を積み重ねる公園遊びとは、例えば、何分もかかって登った滑り台から滑って達成感を得ること。
全く何もなかった砂場に、自分の想像力でいろいろな形を作って達成感を得ることです。
それは、「できた」「楽しい」「うれしい」で満ちあふれている時間なのです。
園での集団生活と違い、親御さんだからこそ、お子さんのペースで、その子の『成功体験』を増やしていってあげられると思います。
与えられたものに「楽しい」と感じる日々より、自分で行動した結果を「楽しい」と感じられるよう、日々の遊び時間を工夫してみてくださいね。
赤ちゃんのころは、手を差し伸べなければお子さんは生活ができませんから、どんなタイミングで、自分でチャレンジさせるのがいいのか、親御さんも迷われるかもしれませんね。
私の考えでは、ハイハイやよちよち歩きができるようになり、自分から動けるようになった時には、親御さんは見守りやサポートの時間を増やして、できる限り、自分でチャレンジさせてあげてみてはどうかな?と思います。
すると、自分の好きなことを目の前にした時、「やってみよう」という心の土台がすでに出来ている状態になります。
例えば、ダンスレッスンで、チャレンジがスムーズにできる子とできない子には、どんな違いがあるでしょうか?
初めての場所で、知らない人たちがいるダンススタジオ。
大人だってドキドキしますよね。
それでも、すんなりチャレンジできる子がいます。
そんな子は、「やってみたら楽しかった」経験をたくさんしてきた子です。
ドキドキして、実際にできるか不安な気持ちがあっても、やってみたら状況が変わる経験が豊富な子です。
その反面、お母さんのそばを離れられないお子さんは、非常に緊張の度合いが強い印象です。
チャレンジする勇気の大きさが全然違うんです。
生まれてから、どれだけの回数『成功体験』を重ねてきたか?
この経験値が大きく関係してくるのです。
※『成功体験』の数だけなく、人見知りや当日のコンディションが理由でスムーズに取り組めない子もいますので、一概には言えません。
自信を損なう親御さんのNG行動
せっかくお子さんに好きなことが見つかり、自信がつきそうなのに、自信が損なわれるケースもあります。
それは親御さんが「周りと比べる」ことが原因の一つです。
赤ちゃんの頃は、言葉を発したら「お話しできたね〜」と喜んでもらえます。
ハイハイもよちよち歩きも「上手だね〜」と喜んでもらえます。
しかし、公園遊びや園での生活がスタートすると、親御さんは、お子さんの成長を願うが故に、同じ年齢の子たちの成長とつい比べてしまいがちです。
あの子は、もうあんなにおしゃべりできる。
あの子は、もうあんなことができるようになっている。
あの子は、もうお勉強も始めている。
そして焦って、お子さんに様々なことを求めてしまっていませんか?
お話が上手な子、運動が上手な子、お勉強が得意な子。
その子たちは、それが好きなんです。
だから、伸びていくんです。
きっとその子たちにも、苦手なことはあるはずです。
しかし、その子たちの秀でたところだけに注目して、「うちの子だってできるはず」と求めすぎてしまってはいませんか?
そうなると、お子さんの自信は育ちません。
(自分はあの子よりできない子だ)
何もしていないうちから、敗北感を味わってしまいます。
私は年間1.2万人以上の子どもたちと過ごしています。
キッズダンススクールを18年運営してきて感じることは、
ー子どもの可能性は無限大ー
だということ。
可能性を伸ばすのも、損なうのも、周りの大人の接し方や考え方次第だと思います。
過去に、当校に通ってくださっていたお子さんのお話をします。
その子は、生き物が大好きな男の子。
服もカバンも、生き物のデザインで、いつも好きなものに囲まれてにこやかな子です。
ご家族は、その子の「生き物好き」を伸ばすために、よく一緒に釣りに出かけていました。
するとその子は、魚の中にいる寄生虫に興味を持ち始めたのです。
寄生虫……。
触るのも無理という方もいらっしゃいませんか?
その親御さんも、寄生虫が全然大丈夫というわけではありませんが、お子さんが興味を持ったものということで、寄生虫の観察にしっかりと寄り添われました。
その子は親御さんのサポートのもと研究を続け、夏休みの自由研究では、なんと「農林水産大臣賞」を受賞。
新聞やメディアに大きく取り上げられるほどになりました。
このような成長を見せてもらうと、子どもの可能性って、本当にすごいな!と改めて感じます。
決して、周りのお子さんと比べるのではなく、その子の好きなことを一緒に見つけ、興味・関心を伸ばしていく。
「できた」という【成功体験】を増やしていく。
ほめられた嬉しい経験を重ねていく。
そんな積み重ねが自信になっていきます。
「自信」と「過信」の違い
私流の表現ですが、
自信は「自分を信じられる心」と考えています。
「自分はここまで努力を重ねてきたから大丈夫」というのが自信だと思います。
その反面、過信は努力の伴わない「自分はできるんだ」という過大評価。いわゆる思い込みだと思います。
過信を起こさないためにも、お子さんをほめる時には、がんばっているプロセスをほめることをおすすめします。
「こんなことができてすごいね!」
と言うより、
「こんなことができるようになるなんて、たくさん努力した証拠だね! よくがんばったね!」
と言い換えてみてはどうでしょうか。
些細な言い方の違いであっても、かけられた言葉がそのまま浸透する子どもの心には、大きく影響することになります。
お声がけで、お子さんの心の育ち方が違ってくることを予め知っておくと、お子さんの伸び方に変化が現れると思いますよ。
まとめ:子どもの自信を育むための3つのステップ
▼ステップ1▼
ハイハイやよちよち歩きができるようになったら、親御さんは見守りやサポートに徹し、日常生活で、「代わりにやってあげる」場面を減らしていきます。
「できた」「うれしい」
そんな【成功体験】を増やしていきましょう。
▼ステップ2▼
お子さんの好きなことを、親御さんも一緒になって見つけます。
人は何かに夢中になると、好きなことだからこそ、一番のめり込んでがんばれます。
好きなことを探すのが、自信を持ったお子さんに育てる大切なステップです。
▼ステップ3▼
結果だけほめず、努力した過程も含めてほめます。
その積み重ねが、自分を信じる力「自信」につながります。
結果だけをほめてしまうと、過大評価の「過信」につながる心配があるのです。
最後に~失敗は最高のスパイス
「失敗は成功のもと」ということわざがあります。
失敗の経験はたくさんした方がいいと、私は考えています。
これは、私が指導を担当したお子さんとのエピソードです。
ある日、保護者の方から
「うちの子、今日は、スニーカーも水筒も持たずに家を出てしまいました。困る経験をさせてください。」
と、事前にご連絡をいただきました。
私は素晴らしいと思いました。
忘れ物をしないようにサポートするのではなく、忘れ物をしたら自分がどんなふうに困るかを経験させる、というサポートをされたのでした。
その子は当校に10年以上通ってくれました。
ずっとダンスが大好きで、自分に自信を持ち、積極的に取り組むお子さんでした。
私は子どもたちに伝えています。
「失敗と思う経験は、成功するための大切な経験! 経験できて、よかったね!」
そんなふうに伝えると、子どもたちはいつもポジティブに考えてくれます。
「こうやったらうまくできないと経験したから、次は成功だ!」
この先、自分が何をすべきか? 自分で見つけ出すことができるのです。
その後、自分の試行錯誤によって、【成功体験】を手に入れます。
このような過程で得た成功体験は、失敗させないように親が先回りして、至れり尽くせりの環境で得たものより、大きな価値があります。
それが、子どもたちにとって欠かせない「自信」へとつながっていくことでしょう。
しかし、失敗して落ち込むお子さんを見るのは、親御さんとして辛い瞬間かもしれません。
でも、成功するための経験として、時には負の感情に包まれるのも、人生に必要なことではないでしょうか。
いろいろな経験を通じ、お子さんが自信に満ちた生活を送られることを、心から願っております。