校長コラム
2024年2月23日
家庭でできる!3ステップで「協調性」が開花する方法
ある子は、友だちに囲まれ、楽しそうに物事を進められている一方で、「うちの子は、なかなかみんなと何かをするのが苦手なようだ…」と、心配になったたことはないですか?
年間1.4万人が受講する、1歳から高校生までのキッズダンス専門
Ti-ccha(ちっちゃ) KID’S DANCE SCHOOL 校長であり、チャイルドコーチングアドバイザーTi-cchaより、「協調性はどうやって育てたらいいの?」という疑問に対して、親御さんができるサポート法をご紹介させていただきます。
協調性の土台はあいさつ
「協調性がある子」と聞くと、だれかと協力しながら行動している姿をイメージされる方が多いのではないでしょうか?
もっと深くイメージすると、自分と違う意見の人を受け入れて、その人の考えも尊重し、目標に向かって協力し合う様子……子どもにとって、かなり難しそうなことと感じられた方は多いのではないでしょうか?
でも、シンプルに考えてみましょう。
「協調性とは?」
→「相手を大切にすること」
「大切にしているお友だちと、一緒にがんばることなんだよ!」
そう教えると、園児のお子さん、小学校低学年のお子さんでも理解できそうですね!
ただ、子どもたちの中には、こう思う子もいます。
「どうして一緒にがんばらないといけないの?」
「自分ひとりでやったほうが楽だし。」
「誰かと一緒にするの大変そう。」
私ならこう答えます。
「何かができた時って、うれしいよね!ひとりでできた時より、みんなでできた時って、もっともっとうれしい気持ちが大きくなるんだよ!」
このような心の持ち方を言って聞かせてから、「協調性」を学ぶ場に立たせてあげることは非常に重要です。
さて、実際にお子さんが協調性を身につける場として、親御さんの関わりが深いのは、習い事の場面ではないでしょうか?
サッカー・野球・ダンスなどなど、チームで行う習い事は、特に協調性を学ぶのにぴったりの場です。
私が校長をつとめるキッズダンススクールも「積極性・向上心・協調性」を指導の柱にしています。
実はこの「協調性」ですが、あることを大切にしないと、全く育てることができないのです。
それが「あいさつ」です。
そもそも「あいさつ」は、なぜするのでしょうか?
同じ場にいる人に対して、同じ時間を心地よく共有するためのコミュニケーションツールです。
朝、「おはよう」と声をかけ合えば、気持ちのいい1日がスタートし、
お昼に「こんにちは」と声をかけ合えば、心に温かい気持ちが生まれてきます。
「さようなら」という言葉にだって、また会える日の楽しみや、会えない間の無事を願う気持ちを込めることもできます。
このようにあいさつとは、相手への思いやりです。
日頃、あいさつをおろそかにしている団体・組織において「協調性を大切にしよう」というのは、とうてい難しいことです。
だれかを思いやる習慣が欠けている状況だからです。
「協調性を育みたい」
そう思ったら、まずは、ご家族同士のあいさつを見直してみましょう。
1日にあいさつの機会は何度もやってきます。
「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「いってらっしゃい」「こんにちは」「さようなら」「ただいま」「おかえり」「おやすみなさい」
この短い言葉の全てに、一度心を込めてみてください。
大人がやっていることは、自然と子どもたちに身につきます。
逆に、大人がしていないのに、子どもたちに「あいさつしなさい」「相手を大切にしなさい」は、通用しません。
ご両親同士。
きょうだい同士。
日常から、まずはあいさつの習慣を見直し、心を込めて伝える練習をしてみましょう。
すると、自然と協調性の土台が育っていきます。
協調性の幹は「聞く力」
協調性は自主的な行動のみに関係するのではなく、受け身で、相手がどう考えているかを読み解く力も、非常に大切になってきます。
ここで、小さなころからぜひ、親御さんに大切にしていただきたいことがあります。
それは、お子さんとの会話で【常に答えだけを与え続けない】ということ。親御さんの方で、正解だけ言わないようにしてみてください。
例えば、どこかに出かける時。
「走ったらあぶないよ!」→(走る)→「ほら! 走らないっていったでしょう!!」
「忘れ物はない?」→(忘れる)→「ほら! だから言ったでしょう……」
ご家庭でこんなことはありませんか?
このタイプのお子さんに何が起きているかというと、頭を使う癖が身についていません。
親御さんが、事前に注意事項を伝えたにも関わらず、想定通りの失敗をしています。
この状態のお子さんに、協調性を教えるのは非常に難しいことです。
それでは、ご家庭でどのようにしたらいいでしょうか?
危険を回避させたい時、「走らない!」と、親御さんが断言するのではなく、こんな言い方をするのですす。
「これから行くところは、人や車が多いところだよ。どんなふうに移動するといいい?」
→「走らない!」と子ども自身に回答してもらいます。
忘れ物がないようにしたい時も、「忘れ物はない?」と聞いても、持参すべきもの自体を理解しているかどうかもわかりません。そんな時は、「今日は何を持っていくの?」と思い出せるような会話をします。
日常的に「考える癖」をつけるのです。
好奇心旺盛なタイプのお子さんは、思ったことを突発的に行動に移す傾向がありますから、この「考える癖」は、親御さんが会話の仕方を工夫することで、身につけてあげるといいと思います。
そして、「聞く力」につなげていきます。
「考える癖」がついていないタイプのお子さんは、同時に「聞く力」も身についていないことが多いものです。
友だちとの会話の様子から、何を思い、何を考え、どうしたいのか? 読み解く力を使ってきていないのです。
いろいろな園に通うお子さんたちと触れ合う仕事である私は、この能力には、園の特色が非常に影響しているなと感じます。
「次はこれをします。」「その次はこれ。」「それはしません。」「こうしなさい。」このように、日常生活で、言われたままに行動することが多い園があります。
このような園の子たちの特徴としては、全体の状況を見て、「今、何をするといいと思いますか?」と問われると、答えが出ない子が多いように感じます。
だからこそ、ご家庭で工夫をして「考える癖」に導き、その次は「聞く力」に繋げていくとよいでしょう。
小さなお子さんの場合、「ママは今、怒ってると思う? 笑っていると思う?」と質問してみるのも、一つのトレーニング方法です。
声のトーンや顔色。
お子さんはしっかりと読み解こうとしてくれることと思います。
他にもできることとして、絵本の読み聞かせをする時に、「登場人物の気持ちを考える時間」を入れてみます。読み終わったあとで、
「この子はどんな気持ちになったと思う?」
こんなふうに、お話を聞いて終わりではなく、そこにどんな感情が動いているかを考える癖をつけていきます。
考える癖がつくと、今度はお子さんの心の中に「知りたい」という気持ちが生まれてきます。
「今、どう思っているの?」
そんなふうに、相手の気持ちを知りたいという行動までたどりついたら、協調性がかなり身についてきたということですね!
そんな時期に、親御さんがサポートできる方法があります。
協調性を育むために大切なのは、他の人の意見を尊重できる心です。
この時期のお子さんは、「どう思っているの?」と考えることが増えてきているので、いろいろな意見を肯定的に受けとめる練習をさせてあげます。
親御さんができることは、お子さんから意図していたのとは違う気持ちや答えが返ってきても
「へぇ〜そんなふうに思った(考えた)んだ!」と、否定も肯定もせずに、受け入れるようにします。
そして、その気持ちを「さらに深く知ろう」という姿勢を見せてあげてくださいね。
子どもたちは、やってもらったことが身についていくのです。
頭ごなしに否定されてしまっては、協調性は育っていきません。
自分の中に生まれた気持ちや考えを、まずは受け入れてもらう経験をたくさんして、それから、共に親子で会話をしていく経験を増やしていきます。
このようなやりとりの繰り返しで「聞く力」が育っていきます。
協調性の花は「伝える力」
土台の「あいさつ」が育ち、幹の「聞く力」が育ってきたら、いよいよ最後は、協調性の花を咲かせる練習です。
最後に身につけるのは「伝える力」。
協調性は、相手の意見を受け入れて行動するだけでは、本当の協調性ではありません。
自分自身の意見を持ち、相手に伝える力が備わってこそ、本当の協調性の開花です。
しかし、これは本当に難しいものです。
「言われたことを言われた通りにする」お利口さんタイプのお子さんは、自分の意見を伝えるのが苦手な場合があります。
集団の場において、相手の意見を尊重して従うタイプのお子さんは、協調性があるように見えるかもしれません。
しかし、それは本当に協調性があるのでしょうか?
「相手に合わせているだけ」ではないですか?
自分には、自分だけの大切な意見があります。
他の人と同じ意見のようであっても、少し違う時だってあると思います。
それなのに、自分の意見を相手に合わせてばかりの人生は楽しいですか?
ぜひ子ども時代に、集団の中においても自分の意見を伝え、相手の意見も尊重し、他者と交わりながら生きていく楽しさを経験して、本当の意味での協調性を身につけてほしいですよね。
そのために、親御さんがサポートできることは、小さな時から「選ぶ」楽しさを教えることです。
好きなお菓子。
好きな服。
好きなおもちゃ。
自分が選択肢を与えられ、選ぶ楽しさを、小さな時から経験させてあげることです。
「あなたはこれが好きだから、これをあげるね。」
優しいお子さんなら、こうした言葉や行動は相手からの好意だとわかっていますから、喜んだ様子を見せてくれることと思います。
でも、それを繰り返してしまうと、他者から与えられたものを「自分の好きなもの」とすり込んでしまう心配もあります。
「あなたの意見は大切」
そんな経験を幼いころからたくさん積み重ねていくことは、協調性を育むことにつながっていきます。
現時点で、自分の意見を言うのが難しいお子さんでしたら、「好きなもの2択」からはじめて、言えるようになったら3択に増やします。
3択でも言えるようになったら、次は「どう思う?」という聞き方に発展させるのです。
最初から「どう思う?」という質問の仕方だと、難易度が高いので、2択や3択など、答えやすい質問から練習するとよいでしょう。
そして、晴れて自分の意見が言えるようになったら、親御さん側の返答にも十分配慮をしてあげてくださいね。
否定をせず、「なるほど」「そういう考えもあるね」など、まずは受け入れてあげることで、自分の意見を伝える楽しさをたくさん経験させることが大切です。
中には、家族には言えるようになったけれど、学校や習い事では言えなくて…….という場合もあるかもしれません。
でも、お子さんはご家族と信頼関係の土台がしっかりあるからこそ、自分の意見を伝え、家族の意見を尊重し、協調性を育めたのですから、その集団でも同じように環境を築いていけば大丈夫です!
▼まとめ▼
協調性は、段階を踏んで開花させていく!
あいさつを大切にする
↓
「考える癖」を身につける
↓
「聞く力」を身につける
↓
「伝える力」を身につける
他者と関わり、思いを共有することは、人生の喜びとなります。
協調性は、人生に彩りを与える花と同じ。
子ども時代に、ご家庭でちょっと会話の仕方を工夫することで、協調性を身につけられるのです!
このコラムと出合ってくださったご家族のお子さんが、仲間と笑顔で何かに取り組む楽しさを経験できることを、心から願っております!