校長コラム
2024年6月28日
違う見方で劇的変化!子どもの集中力を家庭で伸ばす方法って?
キッズダンススクールを運営していて、体験レッスンでご相談のある上位3位のうちの1つは、「うちの子、集中力がなくて」です。
そんな時に私からお伝えする一言に、保護者の方はとても驚かれます。
「そう考えたらいいのですね!」
その後、子育てが劇的に変化したと言われます。
「集中力はどうやってつけたらいいか」
その方法について、年間1.4万人が受講する、1歳から高校生までのキッズダンス専門 Ti-ccha(ちっちゃ) KID’S DANCE SCHOOL 校長であり、チャイルドコーチングアドバイザー&上級心理カウンセラーTi-cchaより、ご紹介させていただきます。
▼目次▼
集中力がないと言われる子の様子
じっと座っているのが苦手です。
目や耳が、いろいろな情報に向いています。
興味を持っても、そのことに向き合う時間が短く、すぐに次のことに移ってしまいます。
「うちの子は集中力がない。」
そうおっしゃるご家庭のお子さんは、たいがいこんな様子です。
しかし、チャイルドコーチングアドバイザーの私からすると、こんなふうに見えています。
「じっと座っているのが苦手」
→体力があり、いろいろなことに好奇心も旺盛なので、すぐに行動に移す積極的なお子さん。
「目や耳が、いろいろな情報に向いている」
→感受性豊かで、いろいろな情報を同時にキャッチする能力に長けています。
「興味を持っても、そのことに向き合う時間は短い」
→「興味を持って、いろいろやってみること」に集中しています。
いかがでしょうか?
こんなふうに、お子さんの良さをお伝えすると、親御さんは驚いて、必ず目がまん丸になります。
大人は、これまでの自分の経験から、集中とは「じっとそこに留まってひとつのことに取り組む力」と解釈しています。
しかし、子どもたちは成長過程。
集中する力がまだ発達していない子、集中していないように見えても、実は集中している状態にある子など、さまざまなのです。
とはいえ、他の子は大人と同じように、ひとつのことにじっと集中しているように見えるのに、うちの子は、じっとしていられない。
いろいろなところに興味が移ってしまうからこそ、「集中力がない」と心配してしまうんですよね。
「集中しているように見える子」はどんな様子ですか?
視線が1点に集中している。
あちこち動かず、その場に留まっている。
このようなイメージではないですか?
こんなふうに見えるお子さんは、ひとつのことにじっくり取り組んでいくタイプのお子さんや、性格的にのんびりしているお子さんに多い印象です。
そういう子と、あちこち動きまわる子を見比べて、大人側が、
「集中できる子」「集中できない子」
という差をつけて見てしまっているのかもしれません。
子どもの集中力はどれくらい続く?
私のダンススクールには、1歳から高校生まで通ってくれていますが、園児時代の集中時間は、おおよそ10〜15分が多いです。
年少と年長でも差がありますし、通っている園によっても差があります。
NHKなどの教育番組も、多くの子どもたちが集中して視聴できるように、短い時間で場面展開をしていますよね。
小学校低学年頃になると、30分〜1時間程度に伸びていく印象です。
ですから、例えば園児のお子さんで体験レッスンに来られ、最初は楽しそうにやっていたのに、30分くらいたって「うちの子は、もうあきてしまった。レッスンに集中できなくなってしまった。」というケース。
前からダンスに通っている子たちは、ダンスレッスンに集中できているのに……。
これは実は、集中力がないというわけではないです。
15分以上、体験レッスンに取り組めているので、むしろ「集中力高くがんばれた!」ということになるのです。
なぜ、前から通っている子たちが、初めて体験に来た子より多くの時間、集中できたかというと、練習を重ねているからです。
集中する経験を増やすことで、園児でも1時間半〜2時間程度、集中力を保てる子もいます。
小学校低学年でも、2時間以上、集中力を継続できるようになる子もいます。
では、どうすれば集中力を保てるようになるのでしょうか。次の章で、その方法をご紹介させていただきますね。
子どもの集中力のポイント3
その1「体力」
集中力を保つために使っている力は、
授業の場合→見る・聞く・考える・ノートに写す
運動の場合→見る・聞く・考える・動く
音楽の場合→見る・聴く・演奏する
見たりきいたりする能力と、行動することなど、複数の動作を同時に動かしていることになります。
まず大前提として、
集中力=疲れる行動
だと想定してみましょう。
ですから、集中力を高めるために、まず必要なことは「体力」なんです。
その2「興味関心」
とはいえ、「体力のない赤ちゃんでも、好きなことならじっとその物事に集中しているのでは?」と思われるかもしれません。
体力に続いて、集中力に必要なことは「興味関心」なんです。
大人でも、全く興味のない話は5分でも苦痛ではないですか?
勉強が苦手な子にとっては、学ぶことへの興味が薄く、集中できなくて当然なんですよね。
集中してがんばってほしい子たちには、その勉強の重要性や、がんばることで得られるメリットなど、苦手なものを前向きにとらえる力もセットで必要になります。
もし、好きなことなら集中できて、苦手なことは集中できない段階のお子さんでしたら、本来は集中できる子なので、この「興味関心」が最大の課題ということになります。
その3「継続時間」
集中力は何時間も続くものではありません。
「いったん集中したら、何分後かに休憩する」というローテーションを繰り返すことで、長い集中力を手に入れることができます。
もし、一度にキャパシティーを超える集中をしてしまうとどうなるか?
脳が疲労して停止してしまい、集中を続けることが難しくなります。
集中の効率をあげるためには、まだ集中力が残っている段階で少し休憩をはさみましょう。
一度違うことをしてみたり、外の空気を吸ってみることで、集中するために使っていた脳や体を休め、回復させることができ、また集中力を保てる状態へ戻すことができます。
私のダンスレッスンにおいても「今のもっとやりたかった〜!」と子どもたちが言う時であっても、次の内容に進むことがあります。
ここで望めるメリットは2つ。
・内容が変わることで、また新たな興味関心を引き出し、集中力が高い状態に持っていくこと。
・次回レッスンでその内容に取り組む際に「これって前にやった好きなことだ!」と、前のやり足りなかった気持ちが残っているので、集中力がより高まる状態を目指せます。
このような繰り返しをすることで、子どもたちは「できた!」という達成感や成功体験を味わいます。
その経験こそが「集中したら、いいことがある」「集中力は大切」など、自分からひとつの物事に集中できる状態へと持っていけるようになります。
集中力を高める親御さんのサポート3
その1「あれこれ提案しない」
お子さんがはじめておもちゃに触れたような頃、おもちゃを、あれもこれも渡していませんか?
例えば、遊び場に連れて行くと、様々なおもちゃや遊具があって、お子さんがどんなおもちゃに興味を持つのだろうと、お子さんの世界を広げるために、遊んでいる側から、いろいろなおもちゃや遊具で遊ぶように提案したご経験はありませんか?
そんな体験から育つのは、好奇心だと思います。
親御さんにいろいろな楽しいおもちゃを教えてもらい、楽しい経験をすることができました。
もし、ご自身のお子さんが今、「好奇心が旺盛で、いろいろなものを見たりさわったりするのは好きだけど、ひとつの物事に取り組むのは苦手なようだ」と感じていらっしゃるなら、遊びの場面で、親御さんからの提案をお休みしてみるのも集中力を高める方法です。
私も遊び場に我が子を連れて行くと、どうしても、家にはないいろいろなおもちゃに触れてほしいと感じてしまいました。
木のおもちゃの質感・音の出るおもちゃの音色など、おもちゃを通じて得られる感性を磨きたい。そんなふうに思っていました。
でも、なぜか我が子は、同じようなおもちゃでいつも遊びます(笑)。
長男は、「それ家にもあるのに…」という電車だったり、ボールのおもちゃだったり。
次男は、とにかく体を動かす遊具が大好き。座って遊ぶおもちゃには目もくれません。
三男は、いろいろなお気に入りをまんべんなく、少しずつ触れていきます。
同じ親から生まれてきた兄弟でも、その子なりの過ごし方がありますね。
それぞれの子が好きなもの、遊びたいものを尊重し、集中できる状態を作ってあげると息子たちはこんな様子になりました。
長男は座って取り組むことが得意で、集中力が高くなりました。
次男は、座っていることは苦手ですが、ルールを覚えて運動をする時など、理解力が早く、運動する時に集中力を継続できるようになりました。
三男はまだ小さいですが、バランスよくどんな物事にも集中できるようです。
「集中力」というのは、後天的に伸ばせる能力として、生活の中で親御さんの声かけを工夫することで身につけていくことができると考えられます。
その2「ゴールのある取り組みを経験する」
おすすめは「パズル」「ぬり絵」「まちがい探し」などです。
子どもたちの集中力は、当初そんなに高くないので、ひとつの物事を通じて「ここまで同じことを続けたらゴールだ!」という経験を繰り返してみます。
最初は、パズルの完成までにあきてしまうかもしれません。
その場合は、ピースを少なくしたり、最初の難しいところは親御さんが手伝い、ゴールまであと少しのところからお子さんのみでさせてあげる、といったサポートもいいと思います。
それでは意味がないのではと思われるかもしれませんが、ここでの目的は「集中することにより得られる達成感を味わうこと」です。
集中したあとのなんとも言えない達成感の経験を目的とした場合には、次のようなサポート方法もあります。
「塗り絵」において、きれいに描くとか、いろんな色を使って完成度を上げてほしいという親の願望はいったん置いておきます。
真っ白な絵が、お子さんが選んだ色で彩られ変化した完成した様子を、たくさんほめてあげるようにします。
そうすることで、じっくりひとつのことに取り組む集中状態を自然と経験し、その後の達成感を経験できることになります。
その3「静か動 どちらかで伸ばす」
運動が得意な子、不得意な子とで、興味関心の持ち方が違います。
その2でご紹介したものは、動かずに集中力を伸ばす取り組みでしたね。
それでうまく行かなかった場合は、動きながら集中力を伸ばす方法を試してみましょう。
私がレッスンで成果を実感できたのは、ボールを使ったトレーニングです。
お子さんはボールが好きな子が多いです。
キラキラした目で、ボールトレーニングをしてくれます。
集中力を高めるトレーニング方法をご紹介します。
1
ボールを両手で前に投げられるように練習。
立ってボールを持てる年齢、1歳になりたての子でもできます。
2
そのボールを壁に向かって投げます。
遠くに投げられず、壁に当たらない場合は、近づいて、安定して壁に当たるようにします。
3
次は、壁に当たって返ってきたボールをもう一度キャッチして、何度も壁に当てるようにします。
壁とキャッチボールですね。
壁がない場合や、どうしても壁に当たらない場合は、親御さんとペアでやってみるのもおすすめです。
なぜこのトレーニングがいいかというと、子どもたちは、最初の段階では「ボールを投げる」という状態までしか集中力が続かないのです。
しかし、「返ってくるボールをキャッチする」ということは、投げたあとに、また集中状態を続ける必要があります。
お試しいただくとわかるのですが、小さな子ほど、投げたところで一度集中力が切れます。
「ボールを見て! 取って!」と声をかけながら行うと、自分が今するべきことに集中できます。
ボール遊びが楽しくて、お子さんは自然と集中状態に入っていきます。
そして、集中力が続くと長いラリーを続けられるようになりますし、体力もついてきます。
「たくさん投げ合いっこできた〜」という楽しい達成感を、お子さんも感じやすい状態になるのです。
最後に…
「集中して!」
集中力がまだないと感じられる未就園児のお子さんには、この言葉は、意味不明のようです(笑)
私が園児の生徒たちに伝えるときは、
「耳さわって。ここで先生のお話聞くよ。」
「目はどこかな? ここで、先生を見るよ。」
「頭さわって。ここでダンスのことだけ考えるよ。」
こんなふうに、それぞれの体の部分で何をするのかを伝えます。
すると「集中して!」
と言うより、圧倒的に生徒たちが理解できます。
そして、集中力が切れてきたと感じたら「今、頭の中で、ダンスのこと考えているかな?」と確認します。
ひとつの取り組みは10分程度に区切り、振り付けを覚えたり、トレーニングをしたりと、取り組む内容を入れ替えながら、1時間、集中力が途切れないようにレッスンをしています。
「集中力」は親御さんのサポートで、必ずつけてあげられる能力です。
ぜひ、このコラムと出合ったご家族が、集中力を身につけて達成感を得られ、笑顔が増えることを心から願っております!
✴︎校長 取材いただきました✴︎
https://thefocus-on.com/kobayashi_hitomi/
✴︎校長Ti-ccha 講演会✴︎
https://www.ti-ccha.com/lecture/
✴︎お問い合わせ 公式ライン✴︎